MLB.comのMark Feinsandによると、カブスがセンターのPete Crow-Armstrongに対して契約延長のオファーを提示していたことが明らかになりました。Feinsandによると、この契約は全てのオプションが行使された場合に最大$75M規模となるものだそうですが、詳細な構造は不明であり現時点では交渉が完全に終了したのか、それとも今後も継続される可能性があるのかすら分かっていません。
Crow-Armstrongは、2021年のトレードデッドラインでJavier BáezとのトレードによりMetsから加入し、颯爽とマイナーを駆け上がって2023年シーズン終盤にメジャーデビューを果たしました。打撃面では通算wRC+が79と特筆すべき成績ではありませんが、守備と走塁でそれを補って余りある活躍を見せています。昨季は30回の盗塁企図で27回成功という高い成功率を記録し、特に23連続盗塁成功は圧巻でした。
打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 打率 | OPS | |
2024 | 372 | 88 | 10 | 47 | 27 | .237 | .670 |
2025 | 66 | 13 | 0 | 5 | 6 | .197 | .522 |
守備では、OAA+14とDRS+11を記録し、いずれも外野手全体でそれぞれ5位、7位というハイレベルな数字。さらにstatcastのFielding Run Valueは+16で、これは全ポジションの選手の中でもGiantsのキャッチャーPatrick Baileyを除くとトップの数値でした。これらの守備指標は、Crow-Armstrongがセンターでわずか112試合しか出場していないことを考慮すると、その凄さがより一層際立ちます。打撃面では平均以下ながら、守備と走塁の貢献により、昨季のfWARは2.7に到達しています。

さらに注目すべきは、昨季後半における打撃の改善です。昨シーズンのオールスター後では打率.262、出塁率.310、長打率.425、wRC+104、7本塁打と好調を維持しました。まだ23歳の若手がこのレベルの打撃を安定して出せるようになれば、オールスター常連選手へと成長する可能性は十分にあります。こうした将来性を考えれば、他球団がLawrence ButlerやEzequiel Tovarらと結んだような早期契約延長を狙うのは理にかなっていると言えるでしょう。
打数 | 安打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 打率 | OPS | |
AS前 | 158 | 32 | 3 | 17 | 17 | .203 | .582 |
AS後 | 214 | 56 | 7 | 30 | 10 | .262 | .736 |
とはいえ、打撃面での上積みを前提とした高額契約にはリスクも伴います。今回のCubsのオファーは、そうしたリスクを考慮した慎重なアプローチだったようです。保証額が$75Mを大きく下回る内容であれば、他の若手選手の契約(ButlerやTovar、あるいはJackson Chourio、Kristian Campbellら)よりも控えめだった可能性があります。
守備力の高い中堅手がFA市場で1年$10M規模の契約を得ている例(Harrison BaderやKevin Kiermaierなど)を見ても、Crow-Armstrongが契約延長にサインするには、それ以上の保証額が必要でしょう。今回のオファーはその条件に達しなかったようですが、Crow-ArmstrongがFAとなるのは2030年オフの予定であり、それまでに両者が新たな契約に合意する可能性は十分に残されています。
将来のカブスを担うスター選手になれる逸材。日本でもPCAの愛称が定着しつつある注目株です。今後の展開に要注目です。
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