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タイガースのエース、T.スクーバルが肘の手術へ!
TigersのエースTarik Skubalが、左肘の遊離体を取り除くため関節鏡手術を受けることになりました。復帰時期はまだ決まっていませんが、ひとまず15日間の故障者リストに入ることになります。これに伴って球団は右腕のTy Maddenを昇格させ、今日Skubalが登板する予定だった試合で投げさせました。
Skubalは今季もTigersの絶対的エースにふさわしい投球を続けていました。ここまで7試合に先発し、43回1/3を投げて防御率2.70。平均球速は96.6mphと昨季の97.6mphから約1mph落ちているものの、初めてCy Young賞を獲得した2024年とほぼ同じ水準です。奪三振率は27.1%、与四球率はわずか3.6%で、圧倒的な球威と抜群の制球力を両立していました。
SkubalはMLB全体でも屈指の先発投手と評価される存在です。Tigersは現在18勝18敗で、Guardiansと並んでア・リーグ中地区の首位に立っていますが、地区内の差は小さく、最下位のTwinsも15勝20敗で首位から2.5ゲーム差に過ぎません。独走状態であればまだ余裕もありましたが、現状ではエースの長期離脱が、そのまま地区優勝争いに直結しかねない状況です。
もっとも、今回の手術が即座に今季絶望を意味するわけではありません。肘の遊離体除去は症例によって回復期間に差があり、60日間の故障者リスト入りも現時点では確定していません。似た例として、BravesのSpencer SchwellenbachとHurston Waldrepはこの春に同様の手術を受けました。Schwellenbachは約2か月が経った今も投球再開には至っていませんが、Waldrepは今週ブルペン投球を行う予定で、順調なら5月下旬から6月初旬の復帰が見込まれているようです。Skubalにも、今年の夏後半からシーズン終盤に戻ってくる可能性は残されているのです。
ただし、仮に離脱が2〜3か月で済んだとしても、Tigersの先発ローテーションはしばらく厳しい状況に置かれそうです。Skubalに加え、Casey Mize、Justin Verlander、Reese Olsonも故障者リスト入りしています。Mizeは鼠径部の張り、Verlanderは股関節の炎症で離脱中。Olsonは肩の手術を受けており、今季中の復帰は見込まれていません。さらに有望株のJackson Jobeも、昨年6月に受けたトミー・ジョン手術からのリハビリ中で、復帰は7月か8月とみられています。若手右腕のTroy Meltonも肘の張りで今季まだ登板しておらず、投手陣の層は大きく削られているのが現状なんですよね。
そのため、当面はFramber Valdez、Jack Flaherty、Keider Monteroを中心にローテーションを組むことになります。またスイングマンのDrew Andersonも先発候補で、今季はリリーフで19回1/3を投げて防御率5.12ですが、昨年はKBOで好成績を残し、オフに1年$7MMで加入しました。奪三振率26.5%、空振り率13.7%と内容は悪くなく、SIERAは3.45、xERAは4.06と、防御率ほど悲観的な数字ではありません。40人枠には他にSawyer Gipson-Longがいますが内部の選択肢は限られており、さらにMizeとVerlanderの復帰時期が見えない点も不安材料です。
そして今回の手術は、Tigersの順位争いだけでなく、Skubal自身の将来にも関わってきます。順調なら史上最大級の投手契約を狙える立場にありましたが、3年連続のCy Young賞は事実上なくなりました。リハビリの遅れ、再発、復帰後の球威低下があれば、市場評価にも影響が出るでしょう。ただし夏のうちに戻り、本来の投球を取り戻せれば、最終的な契約へのダメージは限定的にとどまるかもしれません。現時点では、TigersにとってもSkubalにとっても、見通しを立てにくい不確定要素の多い離脱なんですよね。

ホワイトソックス、外野手R.グリチェクと契約!
White Soxが、外野手Randal Grichukとメジャー契約しました。これに伴って同じく外野手のAustin Haysが左ふくらはぎの肉離れで10日間の故障者リストに入り、40人枠を空けるためTanner Murrayが60日間の故障者リストへ移されています。
Grichukは3日前にYankeesからDFAされ、その後FAを選択していました。マイナー契約から開幕ロースター入りを果たし、主に左投手相手のプラトーン要員として起用されていました。33打席のうち3分の2以上が対左投手と、得意の条件で多く出番を与えられていましたが、シーズン通算で打率.194、本塁打なし、OPS.535と結果を残せませんでした。
ただし、近年の実績を見るとWhite Soxが獲得に動いた理由は理解できます。Grichukは昨季、左投手に対して打率.227、OPS.703と決して目立った成績ではありませんでしたが、2022年から24年にかけては、左投手相手に500打席弱で打率.317、25HR、OPS.940という非常に優れた数字を残していたんですよね。
一方で、Grichukの役割はかなり限定的です。ここ3シーズンは中堅を守っておらず、右投手相手の打撃成績も平均を大きく下回っています。それでもWhite Soxとしては、左投手用の右打ち外野手としてベンチに置く価値があると判断した形です。チームは先週、右翼手のEverson Pereiraが胸筋の怪我で離脱し、代役としてJarred Kelenicを昇格させました。Kelenicは今日の試合で3安打を放ち、シーズン成績を打率.364、OPS.781まで向上させましたが、この成績を維持できるかどうかは不透明です。右打ちのHaysと左打ちのKelenicで右翼を分け合うプラトーン構想にも、いくつか別パターンを作っておく必要があるのです。
問題はアクティブロースターの枠なんですよね。Murrayを60日間の故障者リストへ移すことで40人枠は確保できましたが、ベンチでマイナーオプションを持つのは控え捕手のDrew Romoだけです。Haysはオフに$6MMで契約したばかりで、すぐに放出される可能性は低いでしょう。Andrew Benintendiも不振ながら2027年まで契約が残り、一番打者として起用される試合もあります。新人左翼手のSam Antonacciも好調で、降格候補の一番手にはなりにくいかもしれません。
Luisangel Acuñaは序盤に苦しんでいるものの、オフにLuis Robert Jr.とのトレードで獲得した重要な若手で、簡単に外す選手ではありません。これら内外野の構成を考えると、対象になり得るのはKelenicかDerek Hillでしょう。Kelenicはマイナー契約、Hillは昨年9月のウェーバー獲得で、いずれも投資額は大きくありません。Hillは一定の結果を残していますが、44打席で14三振を喫し、34試合中先発は10試合にとどまっています。Grichukの加入により、White Soxの外野陣は再編の局面を迎えています。

アスレチックス、捕手J.ハイムをトレードで獲得!
Athleticsが、Bravesから捕手のJonah Heimを金銭トレードで獲得しました。同日BravesはSean Murphyを故障者リストから復帰させており、捕手枠の整理のためHeimをDFAとしていました。一方のAthletics側は対応する動きとしてShea Langeliersを父親リストに登録しています。先週は内野手のAndy IbáñezがウェーバーでMetsに移籍していたため、40人枠にはすでに空きがありました。Athleticsは今日試合がなかったため、Heimは明日のPhillies戦から起用される見込みです。
Heimにとっては、6年前にMLBデビューを果たした古巣への復帰となります。もともとはOriolesにドラフト指名され、マイナー時代にRaysへ移籍。さらに内野手のJoey WendleとのトレードでAthleticsへ加入しました。スイッチヒッターのHeimは2020年の短縮シーズンでデビューし、13試合に出場。その翌オフには、Elvis AndrusとKhris Davisを含む大型トレードの一部としてRangersへ移っています。
この移籍はRangersにとって大成功でした。Heimは2021年のルーキーイヤーこそ苦しみましたが、翌22年には正捕手として定着。2023年には打率.258、18HR、OPS.755と打撃面でも大きく成長し、All-Star選出とGold Glove受賞を果たしました。正捕手として重要な役割を担い、World Series制覇に大きく貢献したんですよね。
しかし、その後の2年間は成績が大きく落ち込みました。900打席以上に立ちながら、打率.217、24HR、OPS.602にとどまっています。三振率は大きく悪化していない一方で、四球率はやや下がり、ハードヒット率も低下しました。そのためRangersはオフにHeimをノンテンダーとし、放出する判断を下したのです。
そんな中でBravesは、スプリングトレーニング序盤に$1.25MMでHeimと契約しました。正捕手のMurphyが昨年秋の股関節手術からのリハビリ中だったため、短期的なバックアップ捕手としての期待が大きかったわけです。ただMurphyが復帰すれば、Drake Baldwinも含めた捕手3人体制となってしまい、これを継続するのは現実的ではありませんでした。Heim自身は12試合で打率.231、1HR、OPS.721を記録し、45打席で四球と三振がともに5個と、一定の内容は見せていたんですけどね。一方で、守備面には不安も残りました。13回の盗塁企図がありながら一度も盗塁阻止できず、パスボールこそなかったものの、103イニングで6つのワイルドピッチを許しています。
今回加入したAthleticsにもLangeliersという正捕手がいますが、今季控え捕手を務めてきたAustin Wynnsは13試合で長打なし、打率.086と苦戦しています。Athleticsが数日間だけのためにHeimの年俸を引き受けたとは考えにくく、今後はWynnsとの入れ替えを含めたロースター整理が予想されます。なおHeimとWynnsはいずれもサービスタイム5年以上で、マイナー降格を拒否しながら残り年俸を受け取る権利を持っています。Wynnsは今季$1.1MMの調停契約でプレーしています。

アストロズの捕手Y.ディアズ、腹斜筋の怪我でIL入り!
Astrosの捕手Yainer Diazが、左腹斜筋の怪我で10日間の故障者リストに入る見込みです。球団はこれを受けてCésar Salazarを昇格させています。現在、オプション降格中で健康な野手はZach DezenzoとShay Whitcombの2人だけです。なおWhitcombは今回のSalazarの昇格に伴って降格となりました。
Diazは、Astrosで野手6人目の故障者リスト入り選手となります。レギュラーではJeremy PeñaやJake Meyersも離脱中。さらに先発投手も6人を欠いており、この中にはローテーション上位を任されるはずだったHunter Brown、Tatsuya Imai、Cristian Javierも含まれます。加えて守護神のJosh Haderも今季まだ登板しておらず、状況はかなり深刻です。
今回の負傷は、苦しい序盤戦を送っていたDiazにとってさらなる追い打ちとなりました。Diazは、過去3シーズン以上にわたってMLBでも有数の打撃力を持つ捕手でした。ただ、ルーキーイヤーをピークに数字は少しずつ下がっており、今季は106打席で打率.248、2HR、OPS.620にとどまっています。
Diazはリーグでも屈指の積極的な打者で、もともと四球が少なく、出塁率は伸びにくいタイプです。それでも打率と長打力には安定感があり、2023年から昨年にかけては捕手としてCal Raleigh、Shea Langeliers、Salvador Perezに次ぐ59本塁打を記録していました。しかし今季はゴロの割合が増え、強い打球も大きく減っていたんですよね。
それでも、Diazの離脱はAstros打線にとって大きな痛手です。Christian Vázquezは序盤戦で打率.316、OPS.862と好調ですが、過去3年間は打撃面でリーグで最も非力な捕手の一人でした。マイナー契約からの活躍は嬉しい誤算とはいえ、正捕手としてフル稼働させることを前提に考えるのはいささか不安です。
監督のJoe Espadaは、Diazの復帰時期について明言していません。腹斜筋の怪我は程度によって離脱期間に差がありますが、中程度の損傷でも数週間から1か月ほどかかるケースが多く、Astrosはしばらく捕手起用のやりくりを迫られそうです。

その他のニュース3件
Giantsは外野手のJerar EncarnacionをDFAとし、外野手のWill BrennanをTriple-Aへ降格させました。これは昨日に報じられていたBryce EldridgeとJesús Rodríguezの昇格に伴う枠空けの措置となります。さらに右腕のTrevor McDonaldも昇格させ、左腕のErik Millerを腰の張りで15日間の故障者リストに登録しました。Encarnacionは2024年にマイナー契約で加入後Triple-Aで好成績を残しましたが、MLBでは打率.223、wRC+71と低迷し、今季はさらに不振が続いていました。オプションが残っていないためDFAとなり、ウェーバー通過の可能性が高いとみられます。また過去にアウトライト歴があるため、再度マイナー降格となればFAを選択できるんですよね。一方Millerは高い奪三振率とゴロ率を誇るリリーフで、今回の離脱はチームにとって痛手です。今回昇格したMcDonaldはダブルヘッダー後の先発不足を補うスポットスターターと見られ、登板後に再降格となる可能性もありそうです。

Angelsが、左腕のSam AldegheriをTriple-Aから昇格させ、代わりに右腕のNick SandlinをDFAとしました。Sandlinはオフにマイナー契約で加入して約3週間前に昇格しましたが、8回2/3を投げて11失点と結果を残せず、制球も乱れていました。メジャー在籍5年に到達したことで、本人の同意なしにマイナー降格できないため、DFA措置となったんですよね。ウェーバー手続きは48時間で、その間にトレードを模索する余地も残されています。2021から25年には防御率3.19、奪三振率27.3%と実績を残してきた投手ですが、昨年は広背筋と肘の故障で出場機会が限られていました。今季はTriple-Aで防御率1.42を記録したものの指標は平凡で、昇格後に成績が悪化した形です。ウェーバー通過ならFA選択も可能で、再起に期待する球団がマイナー契約で獲得する可能性はありそうです。

Oriolesが右腕のLou Trivinoとメジャー契約を結び、これに伴い右腕のTrey Gibsonがオプションでマイナー降格となっています。Trivinoはオフにマイナー契約でPhilliesと契約し、Triple-Aで好成績を残した後、契約に含まれるオプトアウト条項を行使してFAとなっていました。今季は13回を投げて防御率2.77、奪三振率35.7%と好投しており、Oriolesはこの結果を評価して獲得に踏み切った形です。メジャー通算でも防御率3.87、37セーブの実績を持つベテランですが近年は故障に苦しみ、2023〜24年はメジャー登板なし、昨年もやや成績を落としていました。Oriolesは現在故障者が続出しており、特にブルペンはFélix Bautistaの長期離脱に加え、Ryan Helsleyらも故障中で層が薄い状況です。Trivinoには経験豊富なリリーフとして安定感をもたらす役割が期待されます。



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